貧者の一灯ブログ

マイペースで自己満足のブログを投稿しています。

貧者の一灯・一考編













※…
「農協の独裁者」と呼ばれる男がいる。その
名は中川泰宏。 中川が1995年から会長を務め
る「JAバンク京都信連」(京都府信用農業協同
組合連合会)の貯金残高は、1兆2567億円に達
する。


副会長を務めるJA共済連(全国共済農業協同
組合連合会)の保有契約高は、なんと227兆円
だ。JA共済連で保険商品を売り歩く農協の職員
数は、18万6000人にのぼる。


京都の農協で27年以上にわたってトップに君
臨しながら、中川泰宏は農協の労働組合潰し
や悪質な地上げに手を染めてきた。2005年に
は「小泉チルドレン」として政界に進出し、
野中広務と骨肉の争いを繰り広げる。




※…
海外で開催するのに日本人ばかり


「農協のフィクサー」中川泰宏をめぐり、農業
版「桜を見る会」を開催して利益誘導している
のではないか、というキナ臭い疑惑がある。


税金を使ってフランスのベルサイユ宮殿やバチ
カン美術館にVIPを集め、京野菜を使った料理を
振る舞っているのだ。


合計五回開催された農業版「桜を見る会」に、
合計1億2,000万円の税金が投入されていると
いう。


〈中川泰宏が近年、最も力を入れているのが京
野菜を使った料理を海外で振る舞う晩餐会だ。


農産物の輸出拡大のための国の予算が一回当た
り二五〇〇万円も投じられるこのイベントは、
現地在住の招待客より、日本からの参加者のほ
うが多い「いびつ」な構成比率で開催されている。


中川の政治力アップという私的な目的のために
行われている海外晩餐会の虚構を明らかにする。


衆議院議員でなくなってから全国的な脚光を浴
びることがなくなった中川が年に一度、NHKなど
の全国ネットのテレビ番組に登場する機会がある。


自ら陣頭指揮を執って海外で開催する晩餐会だ。


中川は和装で会場に現れ、政府高官ら二〇〇〜
三〇〇人を前にまるで主催者であるかのように
あいさつする(実は主催者ではないのだ)。


まさに晴れの舞台だ。「中川は事前に会場入りし、
カメラの角度などテレビ映えするよう事細かに
指示する」(JAグループ京都関係者)ほどの力
の入れようだという。


水菜や万願寺甘とうなどの京野菜や宇治茶を使
った料理を振る舞うこのイベントには、農産物
輸出拡大のための国の予算が毎回二〇〇〇万〜
二五〇〇万円、


開示されている五回分で合計一億二〇〇〇万円
が使われている(正確には晩餐会だけでなく、
その翌日にレストラン経営者らを対象に行われ
る小規模な試食会など一連のPRイベントに投じ
られる予算を含む)。


フランスのベルサイユ宮殿などの豪華な会場に
大勢のエグゼクティブを集めて開かれる供宴は、
その華やかさもあって国内外の多くのメディア
に取り上げられる。


農産物の貿易自由化反対など、何かと内向きに
なりがちな農業界にあって、中川に「海外市場
を開拓する改革派のリーダー」というイメージ
があるのもこの派手なイベントのおかげだ。


しかし、晩餐会について調べていくと、その主
目的は輸出拡大ではなく、中川の政治的な影響
力の拡大という私的なものなのではないかと考
えざるを得ない実態が浮かび上がってきた。


※…
ベルサイユ宮殿やバチカン美術館で晩餐会を開
く意味


中川泰宏が手がける農業版「桜を見る会」は、
何から何までウサン臭い。1億2,000万円もの税
金を投入したイベントであるにもかかわらず、
およそ農産物輸出を振興し、国益を増大してい
るとは思えないのだ。


まず疑問なのは会場の選定である。


中川はベルサイユ宮殿や英国のハンプトン・
コート宮殿、バチカン市国のバチカン美術館な
ど、食事会などが催されることがないレアな場
所で晩餐会を開くことにこだわっている。


当然、そういった場所を押さえるのは簡単では
ない。たとえば、バチカン美術館は講演会が開
かれたことはあっても食事会の前例はなかった。


そのため美術館側から断られていたが、(中川が)
五回にわたって渡航し、交渉を重ねて開催の許可
を得たという。


ベルサイユ宮殿も同様だ。晩餐会の開催を打診し
たところ「先方のトップに一笑にふされました」


だが、そこで諦める中川ではない。「あらゆる
ツテをたどっていき、宮殿を修理しているスポン
サーだった酒造メーカー、ペルノ・リカール社と
接触することができ」同社と共催するかたちで
晩餐会を実現させた。


しかしである。おいしい料理を味わってもらい
輸出につなげるのが本来の目的のはずなのに、
ベルサイユ宮殿には肝心の厨房施設がない。


料理人が車で三〇分も離れた場所で仕込みをし
て運ぶ「前代未聞の取り組みとなり、かなり困
惑した」(主催者側のある参加者)。


このことから、中川は京野菜の輸出拡大よりも
豪華な会場で開催すること、すなわちテレビ番組
での見栄えを良くすることを優先しているのでは
ないかと疑わざるを得ないのだ。


そして、「そもそも論」になってしまうのだが、
晩餐会を開催した国からして、農産物を輸出し
にくい所が少なくない。


たとえば、一五年度に晩餐会を開いた中国は、
動植物検疫を盾に輸入をブロックしており、
日本から輸出できる生鮮食品は梨、リンゴ、
コメしかない。


京都産農産物のターゲットにする市場は別なの
ではないかと指摘せざるを得ないのだ。


晩餐会の開催国は第一回のフランスから、トルコ、
中国と続くが、この三ヵ国は「世界三大料理の国
というテーマで選ばれた」


晩餐会に出席する日本人のツアーを組んだ農協
観光は、第三回までの晩餐会のテーマが世界三
大料理だったことを認めている。


開催地の選定には、日本からの招待客の受けを
良くしようという視点はあっても、輸出を拡大
するという視点はないように見えるのだ。





農業版「桜を見る会」の予算執行状況に疑問を
抱き、調査報道によってメスを入れる。


するととんでもない実態が浮かび上がってきた。
疑問は招待客の構成だ。


中国における晩餐会に招待されたのは、日本側
(日本から参加した政府関係者やJA関係者ら)
の二四〇人に対し、中国側は一〇〇人しかいな
かった。


これでは何のための晩餐会なのかわからない。
この傾向は中国開催時に限った話ではない。


一三年度のフランス、一四年度のトルコ、一七
年度の英国、一八年度のバチカン市国での開催
でも日本側の客数が現地在住の客数を上回って
いる。


こんな実態のイベントに国の予算が使われてい
ることに問題はないのだろうか。疑問に思って
農水省に情報公開請求を行った。


開示された資料の大部分は黒く塗りつぶされてい
た。公費の使い道についても同様だ。


たとえば、一九年度にスペインで行われた一連
のPRイベントに使われた約二五〇〇万円の内訳
は事務局活動費四三〇万円、イベント開催費一
九一三万円、一般管理費一一七万円、消費税
四〇万円という大枠しか明らかにされなかった。


ただし、農水省にさらに取材すると、前出のイ
ベント開催費には、日本人と外国人の両方の招
待客にかかった会場費と食材費が含まれること
がわかった。


そこで、各国における晩餐会などにかかったイ
ベント開催費を晩餐会と小規模な試食会の参加
者数で割ってみた。


単純計算にはなるが、中国では一人当たり二万
九四一二円だった。その後、財布のひもが緩ん
だのか、ロシアでは五万四九三三円、英国では
七万一七〇六円、バチカン市国では五万五二一
一円、スペインでは六万九二四円に膨らんだ。


豪華な会場で開くだけあって高コストである。


これだけ高級な会食の経費を、輸出につながる
外国人の分はともかく、日本側の招待客の分ま
で日本政府が負担することに国民の理解が得ら
れるとは思えない。


千本木啓文氏が農業版「桜を見る会」について
調査を進めると、意外な人物がVIP待遇を受けて
会合に出席していることがわかった。


小泉純一郎の懐刀・飯島勲だ。 〈


一七年度の英国での晩餐会に日本から招待された
客の「上座」から紹介していこう。


日本側の主賓は、中川と最も親しい政治家とい
える元農相で農林族議員のドンの西川公也
(一六年度の晩餐会以降四回連続出席の常連客)。


次いで在英日本国大使の鶴岡公二、小泉チルド
レン時代から中川とつき合いのある内閣官房参
与の飯島勲(晩餐会七回にすべて出席)と続く。


そうそうたる顔触れだ。〉


海外現地の招待客よりも、日本からの招待客の
ほうが出席者が多い。


こんなイベントに多額の税金を投入することに、
果たしてどれほどの意味があるのだろう。


農業版「桜を見る会」疑惑は、岸田文雄政権に
とって今後頭が痛い火種としてくすぶり続ける
かもしれない。…


※…次回「超好立地」で行った“ヤバすぎる
地上げ”」











※…
カラスは人からあまり好かれない鳥ですが、こ
のカラスのことが大好きな中学生がいました。



大輔君(仮名)は不登校ということで、思春期
外来を受診した男子中学生です。両親、3歳年
下の妹の4人家族です。


幼稚園のころから、人と一緒の行動をすること
が苦手で、自分の興味のあるお絵描きやアリの
巣の観察に一人で熱中していました。


また、首筋に付いている服のタグが皮膚に触れ
ることを嫌がるので、新しい服を購入したら、
お母さんが必ずタグを切り取っていました。  


小学校の高学年になると、クラスで孤立するよ
うになりました。中学校でも友だちができず、
休み時間は一人で鳥の図鑑を読んでいました。  


中学2年に進級してから、朝になると頭痛や腹痛
を訴え、学校を休み出すようになりました。


6月になり、お母さんに連れられて思春期外来
を受診しました。  


初診時の大輔君は非常に緊張した表情を示し、
質問に短く答えるだけでした。


コミュニケーションが苦手で、興味のあること
にはとことん集中し、感覚過敏があるなど、自
閉スペクトラム症の障害特性が認められました。


不登校および自閉スペクトラム症ということで、
母親とともに、2週間に1度の割合で通院する
ことになりました。


同級生に「変人」「オタク」「キモイ」と言われ
通院開始後も、大輔君はなかなか話をしてくれま
せんでした。


そこで診察のたびに、大輔君が好きな将棋をする
ことにしました。初めは主治医が勝っていました
が、そのうちに、大輔君が勝つことも増えました。


その後も不登校が続きましたが、少しずつ話をし
てくれるようになりました。


通院を開始して3か月後の診察では、「小学校
のころから、同級生に『変人』『オタク』『キ
モイ』などと言われてバカにされてきました。


中学生になってからも同じ小学校出身の子がい
て、同じようにバカにしてきました。


僕には友だちもいないし、学校がつらくてしょ
うがなかったので休むようになりました」 と話
してくれました。  


お母さんは、「小さいころからお友だちを作る
ことが苦手だったので、幼稚園や小学校の時に
は、私が大輔の同級生を家に招いて、一緒に遊
んでもらうようにしていました。


そんな時でも、大輔は一人でゲームに没頭して
いました。人よりもモノが好きな子で、大人に
なってからのことがすごく心配です」と述べて
いました。





通院を始めて5か月後の診察で、大輔君はこう
話しました。  


「僕はカラスが好きなんです。学校からの帰
り道で、いつも同じ電柱に同じカラスがとまっ
ています。


学校を休んでからもカラスを見に行きました。


カラスと目が合うこともありますが、カラスは
逃げたり、僕を脅したりはしません。


よく見ると、カラスは黒いけど、きれいな鳥か
もしれない。一羽ずつどれも違うんです。


カラスはみんなから嫌われているけど僕は大好
きです。人に嫌われているところが、僕と似て
いるかもしれない。唯一の友だちです。


そのカラスにいろいろ話しかけていました。


でも、こんなことを同級生に話したら、さらに
バカにされますよね」  


このころになると、お母さんは、大輔君を無理
やり人のなかに入れようとしたり、好きなこと
に一人で没頭するのをじゃましたりすることは
なくなりました。


そして、大輔君が楽しいのであれば、好きなこ
とをとことんさせてあげようと考えるようにな
りました。  


中学2年の3学期から、大輔君は勇気を出して
適応指導教室に通い始めました。


動物が好きということで、高校は、自宅から少し
離れた農業高校に入学しました。


入学後は休まず登校を続けています。気の合う
ゲーム仲間が何人かできたようです。


一般的に、カラスはあまり人から好かれていな
い鳥かもしれません。


昔からカラスは、悪魔や魔女の使い、あるいは
不吉の象徴としてさまざまな物語に描かれてい
ます。


大輔君は、そんなカラスを自分の学校での境遇
と重ね合わせ、好意を抱くようになったと考え
られます。


ひとりぼっちの大輔君のことを、いつも同じ場所
で逃げることなく見守ってくれたのです。


大輔君は、そんなカラスにいろんなことを話し
かけていました。  


教室での同級生との関係に傷つき、人に対する
不信感でいっぱいの思春期の子どもを支えてく
れるものは何でしょうか。


それは人でなくてもよいのかもしれません。


大輔君の場合はそれがカラスで、誰にも言えな
い自分の思いを語ってきたのです。


カラスは、当然、否定することもなく聞いてく
れます。答えてくれることもないのですが。  


でも、カラスに語りかけているうちに自分の考
えが整理され、新たな考えが浮かび、前に進む
エネルギーが湧くようになったのでしょう。  


カラスに対して自分が素直になり、こころを開
いて話すことができたことは、大輔君がもとも
と持っていた力だといえます。


学校で友だちがたくさんいるということだけが、
子どもたちの成長を促すのではありません。


人でなくても、こころを開くことのできる対象
があれば、子どもたちは十分成長する可能性が
あることを、大輔君は私たちに教えてくれたの
だと思います。…


author: (武井明 精神科医)